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不登校の対応で「見守りましょう」は危険!その理由とは?

不登校の子どもたちへの対応で見受けられがちな「見守る」という対応。

スクールカウンセラーや自治体の教育相談で「今はエネルギーが失われてるからエネルギーが溜まるまで見守ってあげましょう。好きなことをやらせてあげて楽しく過ごさせてあげましょう」というアドバイスを受けるということをよく耳にします。

実際、不登校支援の現場ではそのように待ち続けて1年2年と経っていっているケースは少なくありません。

このアドバイスには多くのケースで「いつまで」ということが示されません。

示していても「子どもが元気になって外に出ようとするまで」なんて言われることもしばしばあるようです。「待つ」だけでこの日を迎える子どもたちは稀なのではないかと思います。子ども自身の力だけで動こうとしても結局どうすれば良いかわからないし、その時に家から出れない状態が続いている子は、「出よう」したときにはもう家から出れなくなっています。

子どもや家庭の状態、親子関係を紐解く中で「見守る」期間が必要なケースはもちろんあります。ただ、通り一遍で「見守り」それだけをしておくとなるとリスクが伴います。

では、「見守る」だけのリスクと「見守る」以外の方法はどのような対応があるのか見ていきましょう。

「見守る」だけのリスクは?

1、「孤立感」が深くなる

「見守り方」を間違えたまま、見守り続けてしまうことで、より子どもが孤立していってしまう危険が伴います。

「見守り方」によっては、子どもの家での過ごし方に何も口を出さず、何にも誘ったりせず、コミュニケーションも親子で取らず、見守り続けるという対応をしてしまいがちです。

それでは、子どもはより「孤立感」を感じてしまい、ますます社会から見放されているように感じ、より自信を喪失してしまいます。

2、問題解決が遅くなる

ただ、「見守っている」という間に問題の根本を解決することには繋がらずに、より問題が深刻化してしまったり、別の問題が起きてしまい、不登校状態が長期化してしまう恐れがあります。

3、見守る家族側に問題が起きる

見守る側の親や家族が子を見守ることにストレスを抱え、心身ともに疲弊してしまうことが考えられます。

そのストレスは言葉や態度に出さないように意識しても、子ども側は「受け入れられていない」ことに気づき、より親への不信感に繋がる可能性もあります。

また、親側に我慢の限界が来てしまい、親側の方が根をあげてしまい、結局、子どもに対してきつく当たってしまうようなことが起きてしまいかねません。

「見守る」だけではこのような影響が出てしまいかねません。

「見守る」だけではなく、何をすれば良いか?

では、「見守る」以外にどのような対応が必要なのか?

1、不登校になっている要因を見つける

まずは、子どもが不登校になっている要因として何が一番の要因なのかを探る必要があります。もちろん、子ども本人が把握できていれば一番ですが「わからない」という子も多く見受けられます
ですので、要因として考えられるものを大きく3つに分類して考えてみます。

・学校内の要因

いじめ、担任の先生との相性が悪い、距離が遠すぎる、学業不振、時間割が決まっていること、長時間拘束されること、学校行事が苦手、など

・家庭内の問題

家庭内でうまくコミュニケーションが取れていない、過干渉、過剰な期待の押しつけ、両親の離婚、経済的な問題の影響、など

・本人の性格や特性、体質の問題

発達障がいなどの発達特性、内向的で人見知りな性格傾向、入院するほどでもない体調不良や心の問題、など

このようなものが要因として考えられます。
もちろん一つの要因とは定められません。

例えば、一言で学業不振と言っても、お子さん自身がLD(学習障がい)を抱えてしまっていて、文字の認識がうまくできなく、先生の板書をノートに写せないということもあるかもしれません。

そうなるとそれは本人の特性と学校内の要因が複合的に絡んできます。

というように、要因を一つに絞るということは難しいですが、子どもの状況や家族の状態、学校の環境など、子どもを取り巻く環境すべてを鑑みて要因を探り、ある程度特定する作業が必要です。

2、要因に合わせた支援を構築する

要因が見えてくれば、どのような支援が必要かを検討する段階に入ります。

検討するときに大切なことはその子ども家庭に合わせた支援法を構築することです。

1,学習面が問題となっている場合

学習面が問題となっている場合は、学習支援が必要です。

その子その子によるところですが、以下のような支援が検討されます。

・学習塾
・家庭教師
・オンライン塾
・オンライン学習ツール  など

学習塾は不登校の子どもを受け入れているという塾も増えてきています。
また、学習塾がフリースクールもやっているという塾も多くなってきています。

家庭教師は不登校対応をしている家庭教師も増えて来ています。

オンライン塾はメタバースを活用したオンライン塾などこちらも多様になってきています。

オンライン学習ツールは塾などではなく、通信講座によって学習を進めるので、自分のペースで勉強しやすくなっています。

このように学習面だけが問題となっている場合はこのような支援やサービスを活用することで学習面の遅れを取り戻すことは可能です。

ただ、要因を見つけるというところでも述べたように、要因が複合的に絡んでいる場合、これだけを解決しても不登校が解決することはないということは頭に入れておいたほうが良いでしょう。

2,学校との相性が合わない場合

学校という場が合わない、担任の先生と合わない、いじめ、授業が長いなどが要因となっている場合、これは学校以外の居場所に入るということが一つの手法となると考えられます。

・フリースクール
・学校ではあるが不登校の子どもに合わせた学校(学びの多様化学校など)
・教育支援センター
・メタバースを用いた学校   など

フリースクールは民間で運営されていることも多いですが、最近では校内フリースクールや官民協同で運営されているフリースクールが増え始めています。フリースクールの運営方針は各フリースクールによって違います。

例えば、

決まりごとは一つで来たら何しててもいいよという方針のフリースクール
寮を完備していて、寮生たちと共に生活することで社会性や協調性を育んでいくような自立支援型のフリースクール
オルタナティブスクールのように生徒の自主性を重んじる方針
自然学校のような農作業などを体験できるような方針のスクール
塾が母体となって学習面の補助が強いスクール
オンラインで活動しているフリースクール
もあります。

このようにフリースクールは多種多様な方針を持ってそれぞれ運営されているので、お子さんや家族の方針と合うところを探す必要があります。

学びの多様化学校に代表されるような学校ではあるが不登校の子どもに合わせたカリキュラムを提供している学校もあります。こちらも方針は多種多様。寮制度の学校もあれば、通う学校もあります。

教育支援センターは各自治体に一つは置かれています。不登校の子どもたちの学習支援や家族の相談にも乗っている行政機関です。こちらも活動の方針は様々なのでお住いの自治体ではどのような方針で活動しているかを確認する必要があります。

メタバース学校は最近では埼玉県の戸田市、大阪府の大東市で取り入れられています。

ネット上に広がるメタバース空間で多様な学習に触れられるという試みです。

自分のペースで居場所に入れるため従来の学校のシステムに合わないという子でも学習に振れやすくなる可能性は考えられます。

このように学校という時間割が決められ、大人数と一緒がしんどい、など学校のシステムが合わない子にはこのような子ども主体で動きが取れるような学校であれば、居場所として活用しやすいかもしれません。

3,家庭内の環境が問題である場合

ネグレクトやDV、ヤングケアラーというような親側にそもそも問題あるという状況では、なかなか目に止まらないというところが問題です。もし、問題があるように思える家庭を見かけたら「児童相談所」へ相談するということが大切です。

家庭の問題として、親子間のコミュニケーションや過干渉、過剰な期待のしすぎなどが問題である場合、家庭のコミュニケーションのとり方を改善していくことが必要となってくるでしょう。このような相談を専門にできる機関は公的な機関では少ないかもしれません。相談するのであれば、スクールカウンセラーになってきますが、家庭内でのコミュニケーションのとり方まで指南してくれるスクールカウンセラーは少ないと言わざるを得ません。相談するのであればこのような相談を専門に扱っている民間機関へ相談するのが良いでしょう。

離婚や経済的な問題である場合は、このような問題は地域の家庭支援センターや保健センター、スクールソーシャルワーカー、ソーシャルワーカーなどに相談し、適切な相談機関につないでもらうことが大切です。

4,本人の性格や特性、体調の問題がある場合

発達の特性がある場合は、まずは専門的な相談機関に相談する必要があります。

・市区町村の保健センター
・児童発達支援センター
・小児科や児童精神科、小児精神科などの医療機関
・地域のNPO法人や民間機関
などが例にあげられます。

この辺りに相談することで心理検査などを受けられ、子どもの特性としてどのような特性があるかを知ることができるかもしれません。

特性を知ることでお子さんへの接し方やコミュニケーションのとり方、どのような支援が必要かも見えてくる可能性があるでしょう。

必要な支援がわかればお子さんが学校に行くほうが良いのか、学校以外の居場所が良いのかなども見えてくるかもしれません。

体調という問題の場合、思春期特有の病気なども考えられます。

この辺りは思春期外来や児童精神科などを受診することで隠れた病気が見つかることもあるので、見つかった場合、治療を最優先に考える必要があるでしょう。

ただ、どの要因でも支援先に繋がるという必要があります。

親が支援先にまずは相談しないと始まらないので、まずは親がどこかに相談することが大切です。その次に子どもが支援先に繋がるということに目を向ける。子どもが相談先に繋がろうとしない場合は家庭の対応でどうすればいいか、第三者の介入も辞さないという姿勢が必要かなど対応を検討する必要があるでしょう。

とはいえ、まずは専門の相談機関に相談することがまず第一歩ですから、相談することから始めていきましょう。

まとめ

不登校の子どもたちや不登校の子どもを持つ家庭に対する支援についてはいろんな考え方があります。「見守る」という考え方も一つ。ただ、「見守り」続けることでより子どもも家庭も身動きが取れなくなってしまうケースがあるのも事実です。

ケースによっては「見守る」のではなく、何か「働きかけ」が必要なケースもあります。
ただ、「働きかけ」方を間違うとより子どもが内に籠もろうとしたり、家の中で荒れたり、という結果を招きかねないというリスクはあるかもしれません。

だからこそ、「見守りましょう」ということが広まった可能性はあると思います。

たしかに、リスクが何もないとは言いませんが、その「今のかわいそう」を避けて「将来のかわいそう」を取り除かないで置くほうが、実は子どもや親御さんを苦しめる結果になりかねません。

とはいえ、家庭だけでこの難しい判断をすることは難しいところです。だからこそ、親も学ぶ必要があり、不登校や発達について知ることが重要になってきます。

また、専門家へ相談するということも大切です。学びを深めてもいざ実践するとなれば、それが子どもにとっては間違ってる可能性もあれば、実はリスクが大きい対応ということもあります。なので、第三者の客観的な見解を聞くということも大切です。

まずは、学びを深める、知識を身に着ける、そして相談するということから始めていきましょう。

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