ブログ

不登校が増加している要因とその子どもを支える家族に与える影響は?脳科学の視点から解説!

不登校は年々増加しています。

2024年10月に出た文部科学省の最新のデータ(令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果)では346,482人の小中学生の不登校の子どもたちがいるということがわかっています。
これは2023年のデータなので2024年はさらに増加することが予測されます。

このように不登校が増加している要因を考えてみます。
ただ、そもそも不登校の要因は複合的に絡んでおり複雑化しています。
その上で、現状、考えられる要因をあげてみます。
一概に結論付けることは難しい部分があり、個々の家庭、個々の子どもによって一件一件要因が違っているということを前提としてご覧ください。

まずは不登校とは何でしょうか?

不登校の定義

文部科学省の定義によると、不登校とは、次のような状態を指します。

・心理的、情緒的、身体的、社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にある
・年間30日以上欠席している
・病気や経済的理由、新型コロナウイルスの感染回避による者を除く

と定義しています。

つまり、病気とか家庭が学校に行かせられるお金がないとか、コロナ怖いで「学校を休んでいる」という子どもたち以外は「不登校」という分類に入るということですね。

不登校が増加している要因

では、この「不登校」が増加している要因はどこにあるのでしょう?

・多様性を重んじることで社会全体として不登校でも良い、また、家庭の考え方としても学校にこだわらないで良いということが浸透している。

・コロナ禍の影響で生活の変化やオンライン学習の増加など、学校に行かなくても良いという影響を受けている。

・核家族化により子どもたちの周りに頼れる大人が減少している。

・情報化社会による影響で、子どもたちは生活の中で現実生活だけではなく、SNSなどネットの世界でも充実しないと生活に対して満足しづらくなっている。

・そもそも「教育機会確保法」(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)が制定されたことにより、学校に行くことだけにこだわらず、多様な教育を受けられる機会を確保するという文部科学省の方針があり、増加するような状況になっている。

というようなことが原因として考えられます。

とはいえ、このような要因で不登校にいる子どもたちがみんな学校に行かなくていい、社会と繋がらなくていいと考えているのでしょうか?
そのようにみんなが考えているのであれば、不登校が社会問題とはならないのではないかと考えられます。

どこか「学校に行っていない」「社会と繋がってない」ということに対して問題を感じている子どもや家庭が多いからこそ社会としても問題になっているのだと考えられます。

不登校の子どもたちが抱えている不安

では、不登校の子どもたちが抱えている不安はなんでしょうか?

・やる気ややりたいことが見つからない

・学校に行けなくなることで社会に取り残されているように感じてしまう

・学校という場所に行かないことは良いことではないと考えてしまう

・学校に行っても取り残されてしまった自分の居場所はないと感じてしまう

・学校に行きにくくなったきっかけの部分が解決してもまた同じことが学校でおきるのではないかと考えてしまう

・ネットの世界やゲームの世界、SNSの世界に居場所を求め、うまくいかずより他者との関係を絶とうとしてしまう。また、居場所を作れたが、現実世界では居場所がないことで現実世界とネット世界との自分の立場のギャップに不安を感じてしまう

・このままでいいとは思わないが具体的にどうすればいいかがわからなくなっている

というようなことが考えられます。
ここに記述したのは一例でしかないので、他にも抱えている不安はあると考えられます。

不登校になる「キッカケ」は?

では、子どもたちが不登校という状態にならなければならなかった「キッカケ」はどこにあるのでしょうか?
文科省の調査結果を踏まえると以下のようなものが代表例としてあげられます。

・学校生活での困難

いじめや仲間はずれ

学業の成績不振

学校の雰囲気に馴染めない

先生との関係性がうまくいかない

・家庭環境

両親の離婚や家庭内の不和

過度な期待やプレッシャー

家族とのコミュニケーション不足

・心の問題

うつ病、不安障害などの精神疾患

強迫性障害

対人恐怖症

・身体的な問題

持病や慢性的な体調不良(起立性調節障害など)

睡眠障害

発達障がいなどの発達特性による問題

・社会的な要因

パンデミックなどの社会的な変化

情報過多によるストレス

社会的な孤立感

などがキッカケとなるということが考えられます。
何がキッカケになるかはわかりませんが「誰にでも起こりうる」可能性があると考えられています。
ただ、このようなことが「キッカケ」となり不登校状態となってしまうことで身動きが取れなくなってしまっている子どもたちが多く見受けられます。

脳科学の視点から見た不登校による脳への影響

では、不登校状態にあり、社会との繋がりが失われることでどのような影響を受けることになってしまうのか、脳科学で家族の「幸福」を目指すBuddyらしく、脳科学の視点から見てみたいと思います。

また、不登校であることには脳に与える影響があることも徐々にわかってきています。

  1. 脳の可塑性と環境の影響

・脳は環境によって変化する: 脳は経験や環境によって構造や機能が変化する「可塑性」を持っています。不登校やひきこもりの状態が長期化すると、社会的な刺激が減り、脳の特定の領域が活性化しにくくなる可能性があります。

・社会的な脳の未発達: 特に、対人関係やコミュニケーションに関わる脳の領域の発達が遅れる可能性があります。これは、学校や社会での経験が不足することで、これらのスキルを習得する機会が減るためです。

  1. ストレスと脳:

・慢性的なストレス: 不登校やひきこもりは、子供たちにとって大きなストレス源となります。慢性的なストレスは、脳の海馬の萎縮や、扁桃体の過剰な活性化を引き起こす可能性があります。

・学習能力の低下: ストレスは、記憶や学習に関わる脳の機能を低下させる可能性があります。

  1. 脳のネットワークの変化:

・デフォルト・モード・ネットワークの活性化: 内省や自己参照的な思考に関わるデフォルト・モード・ネットワークが過剰に活性化し、外部への注意が向きにくくなる可能性があります。
※デフォルト・モード・ネットワークとは簡単に言うと、私たちが特に何か具体的なことを考えたり、行動したりしていない時、つまり「ぼーっとしている時」に特に活発になる脳のネットワークのことです。

・他の脳ネットワークの接続性の低下: 社会的な相互作用や課題解決に関わる脳ネットワークの接続性が低下する可能性があります。

不登校・ひきこもりがもたらす可能性のある影響

・うつ病や不安障害などの精神疾患: 長期的な社会的な孤立は、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高める可能性があります。

・認知機能の低下: 記憶力、注意力、思考力などの認知機能が低下する可能性があります。

・社会適応能力の低下: 社会生活を送るためのスキルが不足し、社会生活への復帰が困難になる可能性があります。

不登校により社会との繋がりが失われ、家に籠もりがちになることで子どもたちの脳ではこのような変化が起きてしまうことが考えられます。

併せて不登校状態にある子どもを持つ親や家族にも影響を与えてしまう恐れがあります。

不登校の子を持つ親や家族に与える影響

では、不登校の子を持つ親や家族にはどのような影響が出る可能性があるのでしょうか?

・精神的な影響:

絶望感や無力感: 子供の状況を改善できないという無力感や、将来への不安から絶望感に陥る場合があります。

罪悪感: 子供の状況を自分のせいだと責め、強い罪悪感に苛まれることがあります。

孤独感: 周囲に相談できず、一人で抱え込み、孤独感を感じることがあります。

うつ病や不安障害: 長期的なストレスにより、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するリスクが高まります。

・身体的な影響:

不眠: 子供のことを心配して夜眠れず、睡眠不足に陥ることがあります。

食欲不振: ストレスから食欲が減退し、栄養バランスが崩れることがあります。

免疫力の低下: ストレスによって免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり、慢性的な体調不良に悩まされたりする可能性があります。

・社会的な影響:

人間関係の悪化: 周囲の人から誤解されたり、責められたりして、人間関係が悪化する可能性があります。

仕事や家事への影響: 子供のことで手が離せず、仕事や家事が滞る場合があります。

社会参加の機会の減少: 子供のことで精一杯になり、社会参加の機会が減ってしまうことがあります。

・脳科学的な視点からの影響

ストレスホルモンの分泌: コルチゾールなどのストレスホルモンが慢性的に分泌され、脳の神経細胞にダメージを与える可能性があります。

海馬の萎縮: 海馬は記憶や学習に関わる重要な部位ですが、慢性的なストレスによって萎縮し、記憶力や学習能力が低下する可能性があります。

扁桃体の過剰活性化: 扁桃体は感情を司る部位で、ストレスによって過剰に活性化すると、不安やパニックなどの症状が出やすくなります。

不登校の子を持つ親御さんや家族にもこのような影響が出る可能性が考えられます。

まとめ

不登校が増加している要因やきっかけ、お子さんや親御さん、家族に与える影響を解説してきました。

今回は不登校でもひきこもってしまっている状況にあるケースについて解説しています。

現状、不登校でもフリースクールやオルタナティブスクール、学びの多様化学校、オンライン学習、メタバース学校など、学校以外の居場所や家の中ででも社会との繋がりを持てる機会は増えており、そこでお子さんが前向きに社会と繋がり元気にがんばっていて、親御さんも家庭も健康で元気な状態であるケースでは当てはまりません。

そういった環境でも社会性や協調性などを身に付け、社会に出ていく子どもたちもたくさんいることでしょう。

ただ、今回はそのどこにも繋がれず、家で過ごす時間が増えてしまうことで今回解説したような影響を受けてしまう可能性が考えられます。

また、不登校の子を持つ親御さんや家族も影響を受けます。家族も一緒になって影響を受ければ受けるほど、不登校を解決していくことは困難になっていきます。

今、不登校の子を見守るということが叫ばれていますが、このような影響があることを考えると見守り続けるということはリスクがあるかもしれません。

とはいえ、見守ればいいのかそうでないのか、その判断をするというのは一般的には難しいところです。

まずは、子どもを支える親御さんが知識を身に付け、対応法や家庭での関わり方をを知ることが必要になってきます。

家族会buddyでは不登校ひきこもりの専門家がいただいた質問にお答えしたり、親御さん同士の交流会や親御さん向けの勉強会など開催しています。

また、専門の相談機関を紹介することも可能です。

まずは家族が不登校を知るということから始めていきましょう!

この記事は役に立ちましたか?

参考になりましたら、下のボタンで教えてください。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

カテゴリー

新着記事
会員限定
おすすめ
PAGE TOP
ログイン 会員登録
会員登録