前回のブログ(「セロトニン」の分泌を促すことで得られる「幸福」とは?)でお伝えしたように「セロトニン」の分泌を促すことで得られる幸福感は「心と体の健康」から得られる幸福感です。
それに対し、誰かと一緒にいて「楽しい」「うれしい」「安らぐ」のが「オキシトシン」が分泌され得られる幸福感です。オキシトシン分泌には相手が必要となります。
では、「オキシトシン」について詳しく見ていきましょう。
オキシトシンは、脳の視床下部で生成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。このホルモンは「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、さまざまなポジティブな効果をもたらします。
「オキシトシン」が分泌されることで以下のような効果が期待できます。
・ストレス軽減: オキシトシンはストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。これにより、心身の緊張が和らぎます。
・セロトニン分泌を促進: セロトニンの分泌を促進し、幸福感や安心感を高めます。これにより、気分が良くなり、ポジティブな感情が増えます。
・社会的絆の強化: オキシトシンは他者との信頼感や絆を強化する効果があります。これにより、家族や友人、恋人との関係が深まります。
・痛みの軽減: オキシトシンは鎮痛効果も持っており、痛みを和らげる作用があります。特に出産時や授乳時に分泌されることで、母親の痛みを軽減します。
・学習意欲や集中力の向上: 記憶力を向上させ、学習意欲を高める効果があります。これにより、勉強や仕事の効率が上がります。
・心臓の健康維持: オキシトシンは血圧を下げ、心臓の健康を保つ効果もあります。
つまり、他者との交流、関係によって生まれる幸福と言えるでしょう。
「オキシトシン」が分泌されることで得られる幸福感は
・安心感とリラックス: オキシトシンはストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。これにより、心が落ち着き、安心感が得られます。
・ポジティブな感情の増加: オキシトシンはセロトニンの分泌を促進し、幸福感や満足感を高めます。これにより、日常生活でのポジティブな感情が増えます。
・社会的絆の強化: オキシトシンは他者との信頼感や絆を強化する効果があります。これにより、家族や友人、恋人との関係が深まり、社会的なつながりが強化されます。
・愛情と共感の増加: オキシトシンは愛情や共感の感情を高める効果があります。これにより、他者に対する思いやりや優しさが増し、良好な人間関係が築かれます。
・幸福感の持続: オキシトシンの分泌は一時的なものではなく、継続的に分泌されることで長期的な幸福感をもたらします。
「オキシトシン」が分泌されることで得られる幸福感は、友達とおしゃべりして楽しい、恋人と一緒にいて楽しい、デートできてうれしい。
親子関係では、子どもと一緒に遊んでいて楽しい、子どもはお母さんと一緒にいるだけで楽しい、赤ちゃんを抱っこしているだけで幸せ。
趣味サークルに参加し、仲間と交流できて楽しい、コミュニティに所属している安心感、帰属意識、自分が笑顔になり、相手も笑顔になる。
ペットがいるときの「癒され感」もオキシトシンが影響しています。
このように、普通に話していて楽しい、みんなと一緒にいて楽しい、というような日常生活の中であふれている小さな幸せがオキシトシンによってもたらされる幸福感です。
「オキシトシン」の分泌が低下したとき、身体や心にどのような影響があるのでしょう?
身体への影響
・ストレスの増加: オキシトシンはストレスを軽減する働きがあるため、分泌が減るとストレスを感じやすくなり、慢性的なストレス状態に陥りやすくなります。
・血圧の上昇: オキシトシンには血圧を下げる作用があるため、分泌が減ると高血圧のリスクが高まる可能性があります。
・免疫力の低下: オキシトシンは免疫系にも働きかけ、免疫力を高める効果があると言われています。分泌が減ると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
・痛みの感じやすさの増加: オキシトシンには鎮痛作用があるため、分泌が減ると痛みを感じやすくなる可能性があります。
・睡眠の質の低下: オキシトシンは睡眠の質を改善する働きがあるため、分泌が減ると不眠や睡眠障害に悩まされる可能性があります。
心への影響
・孤独感の増大: オキシトシンは社会的絆を深めるホルモンとして知られており、分泌が減ると孤独感を感じやすくなります。
・不安感の増大: オキシトシンは不安を軽減する働きがあるため、分泌が減ると不安感が高まり、パニック障害などのリスクが高まる可能性があります。
・抑うつ状態: オキシトシンは幸福感を高める働きがあるため、分泌が減ると抑うつ状態になりやすくなります。
・対人関係の悪化: オキシトシンは信頼関係を築く上で重要な役割を果たしているため、分泌が減ると対人関係が上手くいかなくなり、人間関係がぎくしゃくする可能性があります。
この他にも、自閉症スペクトラム障害と関連し、オキシトシン系の障害が自閉症スペクトラム障害の一因であるという研究結果もあります。
オキシトシンが低下することで、様々な影響が身体と心に表れます。
オキシトシンの分泌の低下を防ぎ、分泌を促す具体的な方法とはどういったものでしょう?
- 人との触れ合い
・スキンシップ: ハグ、手つなぎ、肩をもむなど、優しい触れ合いはオキシトシンの分泌を効果的に促します。
・会話: 深い会話や共感的なコミュニケーションも、心のつながりを深め、オキシトシン分泌を促します
・笑顔: 笑顔は相手にも自分にも良い影響を与え、オキシトシン分泌を促します。
・ボランティア活動: 他人を助けたり、コミュニティに貢献することで、達成感や充実感を得られ、オキシトシン分泌につながります。
- リラックス
・ヨガや瞑想: 深呼吸や瞑想は、心身をリラックスさせ、ストレスを軽減し、オキシトシン分泌を促します。
・アロマセラピー: ラベンダーやカモミールなどのアロマオイルは、リラックス効果が高く、オキシトシン分泌を促す可能性があります。
・温浴: 温かいお風呂にゆっくりと浸かることで、心身がリラックスし、オキシトシン分泌が促されます。
- 自然との触れ合い
・散歩: 自然の中で歩くことは、心身をリフレッシュさせ、ストレスを軽減し、オキシトシン分泌を促します。
・ガーデニング: 植物を育てることは、癒し効果があり、オキシトシン分泌を促します。
・ペットとの触れ合い: 愛情豊かなペットとの触れ合いは、ストレスを軽減し、心の安定をもたらし、オキシトシン分泌を促します。
- 生活習慣の改善
・規則正しい生活: 睡眠不足や不規則な生活は、ストレスを増やし、オキシトシン分泌を抑制するため、規則正しい生活を送ることが大切です。
・バランスの取れた食事: 特定の食品が直接オキシトシン分泌を促すわけではありませんが、栄養バランスの取れた食事は、心身の健康維持に不可欠です。
・適度な運動: 運動は、ストレスを軽減し、幸福感を高め、オキシトシン分泌を促します。
- 感謝の気持ちを持つ
・感謝日記: 毎日感謝できることを書き出すことで、ポジティブな感情が増え、オキシトシン分泌を促します。
・人に感謝の気持ちを伝える: 感謝の言葉を伝えることは、相手だけでなく、自分自身の心も満たし、オキシトシン分泌を促します。
などが考えられます。「オキシトシン」の分泌に必要なことは、人とふれあい、リラックスする時間を作り、健康的な日常生活を意識することが大切になってきます。
この方法がすべての人に当てはまるというわけではありません。個人差が大きいところはあり、さらに効果を実感するには継続して実践することが大切です。
また、あくまでオキシトシン分泌を促すために良い方法と言われているものというだけであって、治療というわけではありません。心身に強い不安や悩みがあるという場合には専門家(医師、カウンセラーなど)に相談されることをおススメいたします。
オキシトシンが分泌されることで「つながり」「愛」「友情」「人間関係」などから得られる幸福につながるとお伝えしてきました。
ただ、これは「セロトニン」が分泌され身体も心も健康であるということが前提になります。
「健康」でいなければ、人とのつながりは煩わしく感じてしまうことがあります。
「健康」という土台があって「人とのつながり」に幸福を感じられる。
「セロトニン」も「オキシトシン」も日常生活の中にある幸福です。
日常生活にある小さな幸せを意識すれば、どちらの幸福も得られます。
まずは自分の日常生活を振り返ってみましょう。
何かヒントが得られるかもしれません。
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